分子間力がはたらく場合

 これまでは分子間力がはたらかない気体分子について考えてきました。 しかし、実際の分子の場合分子間力がはたらくためにいろいろな現象が起きます。 例えば木の葉等についた露が丸くなるのも分子間力によって水の分子が引き合っているからです。 また、水の温度を下げていくと氷になったり、水に熱を加えると蒸発したりする変化にも関係しています。 例えば、氷が溶けて水になる間や、沸騰した湯がすべて蒸発するまでは、熱を加えても温度が変化しません。 これまでに調べたように、「温度」とは分子の運動エネルギーの平均値です。 これらのことは、外から加えられた熱によって、分子間の力による位置エネルギーの変化が起こり、運動エネルギーが余り変化しないのだと考えれば理解できます。 このように、分子の運動を考えることで、熱のような現象も、少し違う方向から理解することができるのです。
 分子間力を考慮に入れて計算をすることは、高校のレベルでは無理ですから、どのようになるかをシミュレーションで見てみましょう。 分子間の力は分子が互いに近づくにつれて大きくなり,ある距離よりさらに近づくと逆に強い反発力となります。 このアプレットでは、黄色い点が分子を表します。 それぞれの分子の間には上に書いたような性質を持つ分子間力がはたらいているとして、その動きを計算していきます。 また、このアプレットでは壁との衝突のはね返り係数を1より小さくしています。 それは調度壁の温度が絶対零度であることに相当し、分子が壁に何回も衝突すると分子の速度はどんどん小さくなり,分子集団の温度は絶対零度に近づきます。
 このアプレットでは、左右上下の矢印の付いた分子をマウスでドラッグすることによりコントロールできます。 ちょうどその分子をつかんで引っ張る要領です。 そのようにしてこの分子を中央の分子集団(結晶)にまずはぶつけてみて下さい。 分子の動きが激しくなり,分子集団の状態が変わります。 矢印の付いた分子はいつでもコントロールできまので、いろいろな場合を試してみて下さい。
 それでは、分子集団が冷却されて結晶になるようすをじっくり眺めてみましょう。 固体(結晶)は分子間の力によって分子が規則正しくならんだ状態です。刺激で分子の運動が激しくなると,分子がお互いに接しながら動けるようになります。この状態は液体です。さらに運動が激しくなると分子が自由に飛びまわれるようになります。この状態は気体です。 このように,分子運動を考えることによって、物質の状態変化の様子も説明できるのです。
アプレット作成者:宮城県泉館山高校 加藤徳善 (norimari@mxb.mesh.ne.jp)

次は、気体がする仕事について考えてみましょう。


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