理想気体の分子の性質


 気体の分子は容器の中で飛び回っています。 気体の中で、状態方程式がきちんと成り立つものを理想気体と呼んでいます。 これからは、理想気体の分子について計算をすることにしましょう。 まず、これから計算する分子のモデルの性質を考えることにしましょう。
  • 考える気体は、単原子分子(HeやNeのような希ガス元素)の理想気体である。
    気体分子が2原子分子や多原子分子であると分子の回転の効果を考える必要があります。 回転のエネルギーに関しては高校では学習しませんから、原子の回転を考える必要のない単原子分子を使うことにします。
  • 理想気体の分子は分子間力を及ぼさないものとする。
    分子同士の間には一般に分子間力と呼ばれる引力がはたらきますが、気体分子のように分子間の距離が大きく離れているときは分子間力はきわめて小さいため無視することにします。 これは理想気体である条件の1つです。
  • 理想気体の分子の大きさは無視できる
    気体分子の大きさ(体積)は容器に比べて非常に小さいため、気体分子の大きさは無視することにします。 これも理想気体であるための条件の1つです。
  • 気体分子同士の衝突も、気体分子と壁の衝突も弾性衝突である。
    気体分子の衝突が弾性衝突でなければ、衝突のたびに近づく速さよりも、遠ざかる速さの方が小さくなることになり、気体分子の速度は急速にゆっくりになってしまいます。 実際はこのようなことは起こりません。
  • 気体分子の壁との衝突では、壁に垂直な方向には力がはたらくが、壁と平行な方向には力ははたらかない。
    壁に平行な方向に摩擦がはたらくと、やはり衝突のたびに速度が小さくなることになってしまいます。 実際にはこのようなことは起こりません。
  • 気体分子は1種類でその質量をm.gif (856 バイト)(単位はkg)、分子の個数をcap_n.gif (868 バイト)、物質量をn.gif (850 バイト)(単位はmol)とする。
    気体が1種類であるとすれば、計算が単純化できます。 例えば、気体分子同士が衝突しても質量が等しく、弾性衝突であれば速度が交換するだけですから、衝突を計算に入れる必要はなくなります。
  • 気体分子が入っている容器は一辺の長さがl.gif (61 バイト)(単位はm)、体積cap_v.gif (859 バイト)l.gif (61 バイト)3(単位はm3)の立方体とする。
    容器の形は何通りかありますが、もっとも基本的な形にしておきましょう。 容器の辺にあわせて座標系を設定することで、計算が簡単になります。

 このような気体のモデルが単原子分子理想気体と呼ばれるものです。

まず、1個の分子の速度について考えましょう。


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