97年度 第4回 物理研究委員会報告
日時 1997.7.9(水)
会場 大阪教育大学附属高等学校平野校舎
大阪市平野区流町 2-1-24
06-707-5800,FAX 06-709-1711
- 相対論講演会について
8月18日に教育大平野において相対論の講演会の第1回を行いたい。
講師は大阪大学の東島清氏にお願いする予定である。
論点に関しては高等学校で相対論を教えることに関連する話題をお願いしている。
- 標準テスト委員会より 平野 裕一氏(豊島)
例年と同様にIB,IIとIAの2種類を作成する。
- 平成9年度全国大会について。
教育課程部会でまとめた研究協議意見提示に関して意見交換を行った。
テーマは「教科書需要数から見た理科の履修率変動」
- 理科教育全般の問題点
- 若い世代の理科離れ・物理嫌いの傾向
社会全体が実用重視の風潮、学校教育の魅力低下
- 高校での理科履修率の低下傾向
1982年の理科選択導入によって履修率は大幅に低下した。1989年の現行教育課程ではあまり履修率は変化していない。次の教育課程では時間数減少の可能性大
- 中高間と高大間の連続性の欠如
中高の理科の内容の重複と大学の専門物理と高校物理の乖離
- 選択による基礎知識の不足と専門教育
将来は理科教育のコアを確保しながら、部分選択性が望ましいのではないか。また、選択性に合う科目とそぐわない科目を識別すべきである。
- 新分野の取り入れと既存分野の削減をどうするか。
- 新課程での履修率の変動と分析
- 総履修率は旧課程で266%新課程では272%で新旧課程とも3年間で2.7科目履修している。
- 理科履修単位数を予想すると旧課程で10.6単位から新課程の9.1単位に14%減少している。
- 1981年の旧々過程からの変動。
化学・生物の履修率への影響は比較的小さい。ほとんどの生徒が化学と生物を選択しており、物理は81%から52%へ、地学は36%から22%へといずれも約40%程度減少している。
- 理科の履修者のうちIAを選択した割合
化学・生物においてもIAを選択した割合はIBの半分弱あるが、物理IAを選択した割合はIBの3分の2ぐらいある。
- IIの選択率の変動
IIの履修率は、旧々課程とくらべて新課程では、理科全科目で低下したが、IBを選択したものがIIを選択する割合(連続性)は新課程の方があり、特に物理ではIBを選択した者の41%がIIを選択している。地学はIBだけで終える割合が高い。
- 履修率変動に影響を与える要因
今回の教育課程の変更にともなう、理科の履修率の変動は大きくないが、履修単位が減少したことは重要である。微細に見ると、系統的に物理を学習する生徒は減少傾向にある。
また、小中学校の理科の時間数減は今後とも高等学校の理科選択に影響を与えつづけるだろう。
大学入試の理科の選択科目の変化はどうなるか。国公立大と私立が同じ歩調で変更可能なのか。
完全週休2日制の実施で全授業時間数は5〜6%であるが、これに伴う理科の授業減は未知数である。1969年〜89年で全授業時間数が5%減少した時小中学校の理科の時間数は30%減少した。
これに対し以下のような質問があった。
- 教科書需要数の誤差に関してはどのような量か?(12月の訂正の入った分ではないか?)
- IIの選択率の変動でどの科目も少しづつ減っているということは理系進学者の減少を意味するのか。
- 新理科検討委員会では共通の科目を入れようとしているが、この点についてはどうか。
- 部会活動報告
- マイコン部会 神川 定久氏(寝屋川)
島津のセンサーとインターフェイスのセット(サイエンスワークショップ)の日本語版を見た。生徒実験には難しいが、演示実験には使えるかもしれない。また、大阪市教育センターとの回線が光ファイバーに変わった天王寺商業のコンピュータを使ってインターネットの物理関係のページをいくつか見た。大阪府の教育情報ネットワークについては、実際に動き出すのは9月以降のようである。
次回9月3日天王寺商業にて。
- 指導法部会 中村 泰孝氏(四条畷)
大東高校で行われた仮説実験授業「自由電子が見えたなら」について報告があった。
電池のはたらき、発電機のはたらき、白と銀色のちがいなどについて意見交換をした。
今後の指導法部会について。次回で2年間の指導法部会の活動について総括した上で継続的に研究、討議する研究テーマを考えたい。
次回9月10日教育大附属天王寺にて。
- 実験部会 小山氏(大手前)
7月5日に行った。
前から継続中の実験の手引きの光の部分の話をした。光の像の位置と物体の動きなど。
次回は10月4日の予定
- 教育課程部会 仲岡氏(岸和田)
今回は集まっていない。
- 日本物理教育学会近畿支部より 筒井 和幸氏
- 大阪大学で8月1日2日に物理教育研究大会が行われる。ぜひ参加していただきたい。
- 秋(11月)に近畿支部での研究集会を神戸大学で持つ。
9月13日に物理教育を考える会を行う。
- 21世紀の理科教育を考える会。 山田
善春氏(市立工芸)
今年度の会員の確認をしたい。昨年度に引き続き参加頂くメンバーに加え、参加して頂ける方は山田先生に。
7月初めに会合を持ちたい。科学雑誌などに理科教育に関する記事を載せることも考えていきたい。
- 新理科検討委員会 筒井 和幸氏(旭)
教育課程審議会との関わりをどのようにするかが問題になる。
現在は1年で必修にさせる基礎総合理科について検討している。
生徒が社会に出てからどのように使っていくかということも考えた上での基礎力の養成を考慮した各項目の洗い直しが必要である。
具体的な試案として大阪が中心になって提出しているものなどが示され、それについて以下のような意見が出された。
- 中学でどのようなものを学んでくるかによって変わってくる。
- 1年と2年の内容のつながりを考えるのであれば2年の内容が1年を規定するのではないか。2年の物理の具体的な内容も同時に考える必要がある。
- この試案で物理にとってカタログ的な役割をさせられるのか。
- たとえば「エネルギー」という言葉が出てくるが、単にエネルギーという言葉だけ教えてわかったような気にさせるような事にはならないか? また、このような基本的な概念が最後でよいのか。
- 物理的な内容は表面に出ていないが、実験や処理の技術として含まれている
- 教科書はどこからでも始められるような辞書で引けるようなもの(資料集のようなもの)とするのがよいのではないか。
- 大学入試を考えると、教科書に出ているものは出題範囲になってしまう。教科書の内容は必要最低限の基本的事項に限るべきだ。
- 教科書を取捨選択できるのは知識があるものだけなので、知らないものは全部教えてしまう。内容は精選すべきである。
- 大阪市立高校教育研究会理科部の研修紀要について
大阪市の研究会で作っている紀要を紹介したい。その中にも紹介してあるが、大阪市立の高校で採用した島津のサイエンスワークショップは演示実験としては使いやすい。
- その他
- 研究集会大手前高校
普段の授業を授業参観のような形で見ていただくのはよいが、研究授業の形では行いたくない。今回は研究授業は行わないということで承知していただきたい。
- 立命館大学での物理懇話会 物理の先生数名と立命館の教員で立命館で懇話会を持ちたい。希望者は大塚先生に。
- 次回9月17日教育大附属平野校舎(この日に相対論の講座の2回目の可能性もある)
- 近畿ブロックの研究集会のようなものを行ってもよいのではないか。全国大会での発表と同じ物でも意義があるのでは?
97年度物理研究委員会報告のページへ
物理研究委員会のページへ
ホームページへ