97年度 第3回 物理研究委員会報告
日時 1997.6.11(水)
会場 四天王寺高等学校
大阪市天王寺区四天王寺 1-11-73
06-772-6201,FAX 06-773-4113
- 研究委員発表
- Singing Tubeの自作について。檀上氏(四天王寺)
少し肉厚のステンレスパイプ(長さ910mm、直径30mm)
に、0.1インチ目のステンレス金網を2重にして、端から10
cmのところに押し込み、ブタンガスバーナーで金網をあぶる。
しばらくあぶって、パイプを鉛直に立てると、音が鳴る。
パイプは740円、金網が320円ぐらいでできる。
- 不思議なてこと上皿天秤
上皿天秤はなぜ、おもりをどこにおいても測定できるのかということが話題になった。
これは、昔から知られた「不思議なてこ」そのものである。
基本的には実際のてこは、皿の部分まであるのではなく、皿を支えている横棒であり、皿に乗せられたおもりの荷重は常にてこの1点に加わるようになっている。また、てこの下にも同様な横棒があり、これが皿を水平に保つ働きをしている。
これらの働きにより、皿のどの部分におもりを置いてよいばかりでなく、皿を延長するような形で物をぶら下げても、それらの質量が等しければつりあう。
また、横棒は下に膨らんだような形をしているのが普通で、この膨らみのために、横棒が傾いた時に力のモーメントが生じ、水平になってつりあうように工夫されている。
- ストローを使った静電気の実験 山田氏(市立工芸)
物理を静電気、原子からやっている。電子の存在を示し、荷電粒子の概念をつかませるためにも、静電気の生徒実験を行うことは有効である。
以前のガラス棒やエボナイト棒は電気が逃げやすく、行える実験も限られていた。しかし、ほとんどの物質はティッシュでこすったストローで引き付けられる。チョークや氷も引き付けられるのでおもしろい。
ストローであれば水面に浮かべた氷のような湿った状態でも静電誘導の実験が可能である。
水面を引き付けて放電させることもできる。放電が見えることから、電気的な現象であることを示す効果もある。
また、ストローは一旦帯電すると電気を非常に逃がしにくい。そのため、一般にストロー同士は反発するが、ストローの中に水を入れると誘電分極によって引き付けられる。
ベンゼンのような無極性分子でも引き付けられるので、これを利用すると、どのような物質でも誘電分極を起こすことを示すこともできる。
ただし、ストローには一般に負に帯電すると考えられるが、帯電のさせ方によって、逆に帯電する場合もあるので、どちらに帯電しているかはネオン管などで確認した方がよい。
- 「体験を通して学ぶ力学」の指導 平野氏(豊島)
従来物理教育の中心であった知的論理的理解に加えて、感覚的、直感的な学習能力を身につけさせるには、実験、実習や日常的な体験を重視すべきではないか。また、実験、実習はただ、面白いだけではだめで、印象に残らなければいけない。それぞれの授業について最後の5分ぐらいに印象に残ったことなどを書かせているので、それを元に発表したい。この授業は2年次の必修6クラスに行った。生徒実験、実習は試験と試験の間に2回ずつぐらい(レポートは1年間に10回ぐらい出させている。プリントへの書き込み)2年では文字式を使って変形したりという扱いはあまりしていない。3年ではIBを行う。
- 部会活動報告
- マイコン部会 神川 定久氏(寝屋川)
前回は神川がWebで取ったアンケートを見ていただいた。授業を考える時に参考にしている。それ以外にJavaのプログラムについて例をもとに大まかな解説をした。
次回25日天王寺商業にて。
- 指導法部会 中村 泰孝氏(四条畷)
OHPを拡大型にする方法。フレネルレンズを使うとOHPを使って拡大投影できる。
一般的なエネルギー保存の法則から入るのは授業展開としてどうか。
万有引力のシミュレーションのソフトを使った授業の紹介もあった。
- 実験部会 小山氏(大手前)
5月31日(土)大手前高校で行った。
内容は演示実験書について、波の性質、音の分野について演示実験の検討をした。
コンピュータでドップラー効果の振動数変化を示すのはどうか?という質問があったが、取り込みのタイミングと、振動数変化の大きさを考えると難しいのではないかと思われる。
- 教育課程部会 仲岡氏(岸和田)
- 標準テスト委員会より 平野
裕一氏(豊島)
今年度も21名で作成する。
- 日本物理教育学会近畿支部より 平野
裕一氏(豊島)
- 6月21日、28日、7月5日に物理教育を考える会(大学入試問題検討会)を行う。
- 大阪大学で8月1日2日に物理教育研究大会が行われる。
研究発表もしていただきたい
- 21世紀の理科教育を考える会。 山田
善春氏(市立工芸)
今年度の会員の確認をしたい。昨年度に引き続き参加頂くメンバーに加え、参加して頂ける方は山田先生に。
7月初めに会合を持ちたい。科学雑誌などに理科教育に関する記事を載せることも考えていきたい。
- 新理科検討委員会 大塚氏(四条畷)
学習指導要領試案、新理科検討委員会調査部アンケート案等
- 総会報告 大塚氏(四条畷)
5月28日に総会があった。物理研究委員会報告なども行った。研鑚発表や部会報告などは項目だけ挙げておいた。
- その他
- 夏休みの研修会
相対論小委員会から「相対性理論」講演会を考えている。8,9,10月にそれぞれ行う。第1回は8月18日か19日ごろ大阪教育大学附属高校平野校舎において。ただ単に講演を聞くだけでなく議論して教材を作っていくような場にしたい。講師の先生は若手の方や、高校教育に関して関心を持たれている方、物理学全体を見通されている方などにお願いできればよいが。
- 製鉄所見学と鉄鋼技術者・研究者との懇談会についてについて7月末日までに
- 平成9年度 原子力実験セミナー募集の案内がある。教科を問わず参加して頂きたい。
- 物理の若手の教師が少ない。採用の要望などを出してもよいのではないか。
- 岩手の総合教育センターで研修がある
- 超伝導物質の製作を教育センターで行うことも可能なので、連絡してほしい。ただ、1日では焼けない。(約3日かかる)
- その他(山田氏より)
- 科学の祭典全国大会が科学技術館で7月の終わりにある。
- サイエンスライブショーも東京で行われる。近畿では11月9日京都で行われる。
- 大阪市立科学館で第4土曜日に実験の紹介をする。
- 7月初めから6ヶ月間科学実験教室も行う。最初は7月12日あさか青少年会館。
- 交通科学館で夏休みに「びっくり実験」のイベントを行う。常設展示と日曜日の実験などの組み合わせで行う。
- ONSEN メーリングリストにも参加してほしい。
次回は7月9日(水)教育大附属高等学校平野校舎の予定
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