運動量の保存 |
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運動量が質量と速度の積、=で表されることは、既に学習しました。 また、1つの物体を考えたとき、この物体に外力がはたらかないか、はたらいていても合力が0でつりあっていれば、この物体の運動量は変化しないことは慣性の法則からわかります。 しかし、外部から力がはたらかなければ運動量は変化しないと言う性質は、さらに広い範囲でも成り立つことが、実験からわかっています。 いま、いくつかの物体を1まとめにして「物体系」と呼ぶことにしましょう。(例えば、太陽と、その惑星を一まとめにして「太陽系」と呼びますね。 それと同じです。) この物体系には次のような性質があります。 「物体系の外部から全く力がはたらかないか、外部から力がはたらいても、それらの力がつりあっている場合、系の内部で衝突や分裂が起こっても、系全体の運動量の合計は一定で変化しない。」 このような傾向があることは、例えば次のような簡単な例でも、感じ取れます。 |
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図1 図2 |
図は、質量の等しいいくつかの金属球をレールの上に並べただけのものです。 ここで、今、1つの球だけを転がして(図1)、他の球に衝突させると、1つだけ他の端から離れていきます(図2)。 転がす球を2つにすると他の端から2個の球が離れていきます。 この場合は転がりや摩擦があるので、理想的にはいきませんが、同じような球をつるした振り子を並べたものであれば、もっときれいに同様な傾向を確認できます。(昔そのような飾りがありましたから見たことがある人もいるでしょう。) これらの場合、離れていく速さはほぼ衝突した速さと等しいので、このいくつかの球を1つの物体系と考えると、系の内部で衝突が起こっていても、系全体の運動量は変化していないわけです。 これは、ある意味では慣性の法則を物体系に拡張したものとも言えます。 他にも、衝突事故が起こったとき、衝突後の物体はどのように運動するかとか、銃や大砲の反動なども運動量が保存していることを示しています(最初静止していたので、運動量の合計が0になる必要があります。 そのため、弾とは逆向きに本体が運動するのです。) また、ロケットエンジンもこの反動を利用しています。 ロケットエンジンを発明したツィオルコフスキーの論文は「反動装置を用いた大気空間の研究」です。 |
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